由紀子 マキューショーを越えて
羅州ゆり 著/978-4905295495/224ページ/小説/1,200円(税別)/2017年6月刊
「僕はどこまで行っても、どんなに演出家に気に入られても、マキューショーどまりなんだ(…)芝居が上手くてもそうじゃなくても、ロミオになる柄というのがある。僕はロミオにはなれないんだ」
家に縛られることを厭う若き由紀子は、夫・幸男との生活に疑問を抱くようになる。突如、演劇の世界に飛び込み、そこで知り合った岡嶋は妻子のいる俳優だったが、由紀子が抱く岡嶋への気持ちは日に日に激しさを増す――。
1970年代後半から1980年代前半の演劇世界を舞台に、一人の女性の結婚、家族、生活、仕事、恋愛…様々な葛藤を描いた長編小説。懐かしくもありながら、今を生きる女性の琴線にも触れる普遍性が魅力な作品である。