自費出版の疑問あれこれ⑨ 引用と転載のルールとは?
今回のテーマは、引用と転載のルールについて、です。何回かに分けて、ご説明します。
昨今、違法ダウンロードや海賊版など、著作権の話題を見聞きすることが多くなりました。出版においても自費出版、商業出版問わず、お著作権の問題は意識する必要があります。
歴史・経済・社会科学・ノンフィクションといったジャンルの本を書く際、他の書籍の文章や新聞記事などを引用することがあります。それらの文章にも著作権があるので、基本的に無断で使用することはできません。しかし、ルールを守れば、そういった文章を引用することが可能です。
ルール① 出典を明記する
文章を引用する際、その文章がどの出典元に書いてあったのかを、原稿の中に明記しなければいけません。書籍から引用する場合は、
書名、著者、出版社、発行年(ページを載せると、なお丁寧です)といった項目を明記します。
例えば、太宰治の「人間失格」冒頭部分の、
恥の多い生涯を送ってきました。自分には、人間の生活というものが、見当つかないのです。
という文章を引用する際は、
『人間失格』太宰治、新潮文庫、1952年
というようになります。
注意したいのは、書名は「」ではなく、『』で括るということです。雑誌や新聞の場合は、原稿の中で統一されていれば構いません。
なお、太宰の作品は著作権が切れているので、出典先を明記しなくても可です。発行年は引用した判のもので構いません。
もちろん、縦組であれば、発行年は「一九五二年」という表記になりますが、これはその原稿内のルールに合わせればいいでしょう。