太宰治関連2つのニュース 津島佑子さんご逝去、碧雲荘移築
2016年2月の各紙は、太宰治に関するニュースが2つ掲載されました。
ひとつめは、太宰の次女で小説家でもある津島佑子さんのご逝去。享年68。津島さんは、生前、あまり父・太宰治のことをお話しになりませんでした。その心中は、私たちには推し量ることはできません。
太宰とは異なる文学の資質をお持ちで、数々の名作を発表されたと思います。若手の頃から、中上健次としのぎを削り、友人同士、ライバル同士だった話は有名ですが、お二人とも早すぎる死が惜しまれます。ご冥福をお祈りいたします。
続いては、昨年から話題になっていた東京・杉並区の「碧雲荘」移築問題。これが大分県由布市湯布院町に移築されることが決まったそうです。湯布院で旅館を経営されている方が移築費用を負担し、本に関する施設として活用するとのこと。取り壊しが近づいていましたので、逆転ホームランというところかもしれません。
碧雲荘は、太宰が半年余り暮らしていた高級下宿。「富嶽百景」にも登場し、そこの便所で、内縁の妻・小山初代との過ちを親戚の小舘善四郎から告白されたといいます。弊社で発行している、読書系・アート系フリーペーパー「Day Art」17号でも特集を組んだ話題でもありましたから、個人的にもよかったと思います。もちろん、場所は杉並から離れ、その便所の窓から富士山が見えることはありませんが、ぜひ湯布院に行った際は、移築された土地の便所から何が見えるのか、確かめてみたいですね。