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小説の書き方講座⑧「文体とは何か」パート1

随分ご無沙汰してしまいました。すみません……。

さて、小説の書き方講座第8弾のテーマは、「文体とは何か」。このテーマも1回で語るには無理がありますので、複数回に分けて説明していきます。

■「わかりやすければいい」という問題ではない

「文体」というのは、ほぼ個性といえるでしょう。結論からいえば、文体のない小説など存在しません。別の言い方をすると、文体にオリジナル性がなければ、それは小説とはいえません。つまり、文体は小説において、非常に重要だということです。

では、どういった文体がいいのか。単純にいって、良し悪しなどありません。ある小説が創作されるなかで、結果的に完成されたものが、その人の文体ともいえるでしょう。あるいは、もともとある人が無自覚で文章を書いていて、それが個性的で人の心を揺さぶるものであれば、それは独創的な文体といえるでしょう。

ただ、注意が必要なのは、「わかりやすい」「読みやすい」ことが、「ベターな文体である」「いい文体である」ということでは、決してないということです。

■文体に求められるべきは個性か? 普遍性か?

「わかりやすい」を「普遍性」、「わかりにくい」を「個性」と割り切った場合、文体に求められるのは、「個性」だと思います。だからといって、支離滅裂な文章が、個性的な文体だというのは、勘違いです。たとえば、

ワタシはIshaデス。ChichiもIshaデシタ。

という文があったとします。

これを文体といってしまっていいのか。それは違うと思います。これは、文体というより技術に近いでしょう。それに、まさか他の作品もこの調子で書くわけではないでしょうから、それは1回きりで、文体とはいえないでしょう。

いよいよ文体の本質に近づいてきました。

つまり、文体とは技術ではなく、本能、才能に近いということです。もっと言ってしまえば、文体は体質であり、血や涙、汗と近いものだということです。もちろん、本能でオートマチックに書いていくだけではいけません。ある程度の語感を大切にし、調整していく必要は出てきます。しかし、言葉を選び、表現をしていくに当たっては、本能が活かされているといえます。

何回か前に、登場人物の描き方について説明した際にも触れましたが、文体を磨くうえでも欠かせないのが、自らの人間性を磨くことです。「良い人間になれ」と言っているわけではありません。人間としての良し悪しはあまり関係ありません。良くも悪くも自分という人間性を磨き、他者と異なる部分に気づくことが、独創的な文体を見つける鍵となるでしょう。

次回も「文体とは何か」です。