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自費出版の増刷は決してリーズナブルではない

自費出版は文字通り、「自費」で出版することです。そのため、予算はしっかりと決めておきたいもの。

だからといって、予算が余っているから部数を増やそうという考え方は控えた方がいいでしょう。必要ないならば作るのは、もったいない。

とはいえ、「手元に置いておく分がなくなってしまう」「思いのほか、アマゾンや書店で売れて在庫がわずかしかない」という問題がなくもない。

仮に初版で500部作ったとして、残り30部しかない。将来的に、知り合った方にあげたいし、販売を継続したい。それならば増刷しよう、という結論に達したとします。

■初版時の9掛くらいの金額がかかる

では、自費出版の増刷はリーズナブルなのか。結論をいうと、決して安くはないです。

例えば、初版500部で印刷・製本代が50万円かかったとします(この場合、表紙デザインやページレイアウトなどの制作費は含みません)。同じ部数を増刷(2刷)すると、費用はいくらかかるのか。

目安は、「初版時の印刷・製本代の8.5〜9掛」。金額にすると425,000〜450,000円です。どうでしょうか? 想像より高いと感じませんか。

なぜ同じものを同じ部数作るのに、それほど安くならないのか。結局のところ、同じ工程を行うのにも、新たに人間が動くから。つまり、人件費に変わりはないからです。そして、新たに用紙を仕入れ、印刷のためのインクも使いますし、製本もする。初版だろうと増刷だろうと、省略される工程は何もないからです。

■初版800部と初版500部+増刷300部はどちらがお得?

そう考えると、やはり初版で多く刷っておいた方がいいのではないか。ただ、あくまでケースバイケースです。

仮に、初版500部と800部の印刷・製本代を下記のようにしましょう。

500部50万円
800部60万円

将来的に800部残っても問題ない。そういう場合なら、初版で800部刷ってもいいでしょう。これを初版500部+増刷300部と分けるとどうなるのか。

初版500部50万円
増刷300部30万円
合計80万円


初版800部が60万円に対し、80万円ですから差額は20万円。確かにコスト高になります。

しかし、何の目算もないのに、部数が多くなれば単価が下がるということだけで部数を増やすのは、やはりやめた方がいいでしょう。

何度もいいますが、無駄な部数を刷る必要はなく、適正な部数を刷ることが自費出版には大切な考え方です。

■修正したい場合、どうするのか?

初版時に間違った情報を載せてしまった。誤字脱字が見つかった。そういうことはありがちです。その場合、せっかく増刷するならば修正しておきましょう。しかし、修正があるときは、印刷・製本代だけでなく、修正費用がかかることもあります。

例えば、200ページの書籍を作ったとします。ところが、50ページにわたって、修正箇所が見つかった。そうなると、総ページ数の4分の1の修正ですから、ほとんど新たに製版し直さないといけません。

となると、上記のような8.5掛、9掛というのも諦めないといけません。ほぼ初版時と同じ印刷・製本代がかかり、なおかつ修正費用がかかると思った方がいいでしょう。

反対に、修正が1、2ページくらいでしたら、サービスしてくれます。せっかく増刷するから誤字脱字ではないけれど、気になった言い回しを変えよう、といった「主観的な修正」は控えましょう。