用紙
用紙選びは、実に楽しい!
■用紙選びは厚さに注意を
用紙選びは、とても楽しいのですが、なかなか難しい問題です。ただ、予算が少ない場合、選択肢はかなり限られます。結論をいうとコート紙とアート紙。どちらも低コストだからです。
■コート紙とアート紙とは
コート紙とアート紙は、簡単にいえば、一般的に旅行先などで買えるポストカードをイメージすれば大丈夫です(ただ、オシャレなポストカードは異なることが多いです)。多くの絵本でも使われているのが、コート紙やアート紙です。
最もコストが安いうえに、色が乗りやすいから多く使われています。ただ、注意してほしいのが、フルカラー(4色)の場合、最も安いのがコート紙とアート紙だという点です。モノクロ(1色)であるならば、一般的な書籍用紙(クリームキンマリなど)が低価格になります。つまり、ここではフルカラーを前提とした絵本の場合ということです。
コート紙の場合、マット系のものがあります。これはツルツルした手触りではなく、しっとり系。優しい風合いがあるので、絵本の場合、本文はマットコートがいいかもしれません。
■厚さ(斤量)に注意!
絵本の場合、用紙の種類とは別に注意したい点に厚さがあります。一般的には、本文はコート紙であれば、110kg、135kgを使っておけばいいでしょう。ただ、予算がない場合、やむなく90kgを使うこともあります。けれども、90kgの場合、時間経過とともに用紙がインクで波打ってしまうことも。
反対に、厚すぎてしまうと、製本上、困難が生じます。ページが裂けやすくなってしまうのと、単に製本できないということもあります。
また、表紙カバーの用紙の厚さも注意が必要です。丈夫にしたい、ということで、厚みのある用紙を使いたがる方がいます。しかし、これもやめた方がいいです。というのも、厚すぎると、折り返し箇所(袖といいます)に亀裂が生じ、破損しやくなるのです。ですので、表紙カバーも110kg、135kgくらいがベターといえます。
■基本的には、白系の用紙を使う
用紙の色味ですが、基本的には白系を使います。それは当然かもしれません。絵本はフルカラーが基本ですから。あと、白系でないと、カラーのインクが乗りにくいという傾向があります。ですので、本文と表紙カバーの用紙を選ぶ際は、白系のものを選びましょう。
もちろんクリーム系、ナチュラル系といった、少し黄色味がかった用紙でも問題ありません。ただ、コート紙やアート紙ではない特殊紙の場合、地の色と相性が合わないこともあります。
これで、だいぶ選択肢は狭まれてきます。
■高級用紙はどんな種類がある?
コート紙やアート紙は、いわばありきたり。予算も多少あるし、個性を打ち出したいという方には、高級用紙(特殊紙)をオススメします。ただ、種類が多いので選ぶのが大変ですが……。
種類などを実際に見て触って確認したい方は、「竹尾」に行かれるといいでしょう。
ひとえに、高級用紙といっても、フルカラーを乗せるのに適さないものもあります。ここでは、本文と表紙カバーで使える高級用紙をいくつかピックアップします。
・ヴァンヌーボ
・OKミューズガリバー
・ホワイトエクセルケント
・ミルトGA
これらは、白系の用紙です。色の乗り具合は問題なく、どちらかというと、手触りや風合いに特徴があります。アート紙やコート紙は、見た目や手触りがどうしてもつるっとした印象があるので、風合いが足りないと感じる方もいるでしょう。
ただし、これらの用紙はコート紙とアート紙と比べると、飛躍的にコストが上がることもあります。用紙変更する場合、必ず見積もりを取り直しましょう。
他に、アート紙やコート紙、特殊紙の間くらいのコスト感でオススメなのが、スノーフォース。弊社で発行している読書系・アート系フリーペーパー「DayArt」は、スノーフォースを使っています。
スノーフォースは用紙の種類でいうと「嵩高微塗工紙(かさだかびとこうし)」です。手触りがしっとりしていて、マットな雰囲気です。カラーも綺麗に乗ります。
■見返し用紙にはこだわりを
予算が多くない方でも、見返し用紙には多少のお金をかけることが可能です。なぜなら、見返しに使う用紙の量は、本文ほどには多くないからです。
よく使われるのが、タントやマーメイド、レザックといった元々色のついた用紙です。おそらく、絵本は多色を用いて、子ども向けのものが多いので、色をついた用紙を使うのが一般的なのでしょう。
もちろん、和紙系のものも使うことが可能ですが、絵本の場合は、あまり使いません。
また、ここでも注意したい点が2点。
①見返しの印刷
②厚さ
①の見返しの印刷ですが、見返し用紙にも印刷することは可能です。ただし、元々色のついている用紙の場合、色が乗りづらいことが多いので、あまりオススメしません。
②の厚さですが、見返しはハードカバーのボール紙に糊付けします。ですので、薄すぎてしまうと浮いてきたり波打ったりしてくる恐れがあります。タントでいえば、最低でも100kgを選ぶようにしましょう。
トレーシングコート系の用紙も、見返しにはおすすめしません。やはり薄すぎてしまうのと、結構コストが高いからです。
最後にリサイクル用紙(再生紙)について触れておきます。昨今、製造コストの高騰により、100%再生紙は作られておりません。80%再生紙も残りわずかという話です。個人というより企業が地球環境保全の観点から使いたい、という要望がありますが、このような現状です。なお、リサイクル用紙は色の乗りがあまりよくないことを付言しておきます。